倖せ庵

倖せ庵・・・日常生活や写真・思考・言霊など多種多様なメニューを取り揃え、皆様のお越しをお待ちしています。

四角い神さま、丸い神さま。

経営に携わっている店は、今日も賑やかに繁盛していた。夕方に様子のおかしい客が来たが、気にせずさっさと追い出した。夜になり、NHKの集金みたいなヤツが来て、なんだお前?みたいな対応をしていたら刑事だった。どうやら昔の私を追い続け、辿り着いたようだ。オーナーごめんよ。しばらく営業しにくくなるな。

 
オーナーはバタバタしている様子を見て逃げ出した客を追って出て行ったきり。
店内に残ったいかついオカマ数名と話していたら、心配して輸入時計屋の二代目ハンサムが様子を見に来てくれた。久しぶりに会っても変わらない爽やかで黒い笑顔。ただ何か違和感を感じてみていたら、彼の右頬に大きなコブが出来ていた。本人も違和感ぎあるのか、コブをボリボリ掻いていたが、よく見るとコブは水道の蛇口だった。彼は顔の蛇口を外すと、当然顔には穴が開いていて、水が流れ出して多分処置が必要なんだろう。急いでどこかへ行ってしまった。
 
時計屋二代目の部下が、あたふたと彼を探して何故か私に怒るので、しょうがないから一緒に探すことになった。いかついオカマ達が仕事の時間らしくとりあえず付いて来いというので向かうと、川沿いの角地、向かいはフェンスで草地、奥に我々がいたビル郡がのぞめるという抜群のロケーションに屋台のおでん屋だった。素晴らしいと思わず大きな声が出た。いかついオカマの一団は活気に溢れおでんを作って、そのうちの数名は、自転車におでんを積み込み元気に送り出された。おでん屋の行商とは珍しい。
 
残りのオカマ達と野外の壊れかけたボロいソファで客を待っていたが誰もこず、夜も更けてきた頃、オカマ達が神社に参拝に行くというのでついて行った。山のフドウのようなオカマにドン、と背中を叩かれ上を見よ、と言われて見てみたら、神社の上を丸いものが覆っていた。すごい、見えるんだ。と興奮していたが、フドウ曰く今は良くない星回り?らしく、本来なら神社、というか世界は四角い神さまが守っているらしい。日本全国、四角い神さまが隙間なく守っているんだが、今の時期は皆丸い神さまになっていて、隙間だらけで良くないものが降りてくるらしい。
 
こっちへ来い、と緊張感が高まるオカマ達は神社の池に向かった。すると白い狛犬達が生きた姿になり池の周りを走り回っているではないか。もっと短足でかっこ悪いと思っていたが、アフガンハウンドのような姿で真っ白いそれは、とても美しく、とても尋常でないスピードで走り回っていた。もう怖いのでその場は失礼したが、二代目の部下は、経費がかさみ全然儲からない現状を嘆いているし、オーナーの事はすっかり忘れてしまった。